たとえこの世が滅びても~20周年を鮮やかに彩った愛の花を忘れない為に
第一報が光一さん本人の口からもたらされたのは6/28、太一く
「番組としても20周年を盛り上げてくださってる中非常に申し訳 ないんですが」
「大事をとってお休みしています」
タイムラインには衝撃が走りました。
誰もが言葉を失い、混乱していました。
その日のパフォーマンスは光一さんの親友こと長瀬智也さんが助っ 人として音合わせもなしに「全部抱きしめて」を歌ってくれたり、 太一くんやレボレボ、スタジオのみなさんと一緒になって「フラワ ー」を歌ったり、仲間が助けてくれたことで比較的和やかなムード で進行していきました。誰もが一日も早い復帰を願い、20周年本 番に間に合わせるための休養だと信じていました。
3日後の7/1には、櫻井くんが司会を務めるTHE MUSIC DAYの生放送がありました。つよしくんが出演を見合わせたこと は事前にお知らせされていましたが、未満都市が復活することもあ って「愛されるより愛したい」を歌うことが既に発表されており、 どのようなパフォーマンスになるのかが世間的に注目を浴びました 。
まずはジャニーズシャッフルメドレーに冬コンのアンコール衣装で 登場した光一さん。隣の太一くんがずっと肩を組んでくれ、心なし かメンバーみんながセンターの光一さんを囲むような陣形でのぞん でくれたように見えました。「泣きながら生まれてきた僕たちは多 分ピンチに強い」と歌う光一さんはその強さの中にどこか寂しさが 滲むようで、これまでに見たことのない佇まいでした。
そしてやってきた光一さんのターン。「本当にごめんなさい、スタ ッフの方にも柔軟に対応していただきありがとうございます」と頭 を下げる光一さん。「愛されるより愛したい」を未満都市で共演す る松本くん相葉くんと共に歌うことが発表され、「これを歌うなら このふたりしかいないと思って。本当にありがとね!」とふたりに も感謝を述べます。
イントロが流れ出すと松本くん相葉くんと固く握手を交わし、光一 さんがセンターに立ってパフォーマンスが始まる…と、気付いたの はそのときでした。光一さんの黒い衣装のインナーに、赤と青のラ インが入っていたのです。いつもいつもメンバーカラーに意味など ないと言って憚らない光一さん。でもこの日ばかりはその大きすぎ る意味を感じずにはいられませんでした。
ふたりにありがとうと拍手を贈り、たったひとりでピアノの前に立 つと歌いだしたのはAnniversary。しかも、テレビでは あまり披露したことのない2番の歌詞でした。
「君がいるだけでありふれた日々が鮮やかに彩られ愛が満ちていく よ」
これがメッセージでなければなんなのでしょうか。後に明かされた ところによれば、Anniversaryの歌唱を決めたのは直前 で、本来は愛されるより愛したいだけになる予定だったというので す。
「みなさん本当にご心配をおかけしてすいません。つよしくんが戻 ってきたらKinKi Kids20周年、また新たな気持ちで、感謝の気持ちを乗せて、 再スタートできたらいいなと思っております。本日はみなさん本当 にどうもありがとうございました。」
どうしてこの人が謝らなければいけないんだろう。
どうしてこの人はひとりで立とうとするんだろう。
どうしてこの人はこんなにも強いんだろう。
つよしくんの回復を願いつつも、その日は光一さんの強さが哀しく て数時間泣き続けました。神でも悪魔でもいい、あの人の魂を救っ てくださいと願わずにはいられませんでした。
その後の収録番組も光一さんがひとりで出演し、次の生放送は7/ 11、NHK「うたコン」。この日も生出演は光一さんのみとなり ました。紅白の映像を振り返るコーナーなどを経て、選曲したのは「もう君 以外愛せない」。
「君が一瞬でもいなくなると僕は不安になるのさ」
スモークの海を漂いながら音に魂を込める光一さんは、ファンが見れば分かる程度にはやつれていて、でも、涙が出るほどに美しくて。
ひとりでの出演なのだから、自分のソロを歌うことだって、最悪出 演をとりやめることだってできた筈なのです。でも光一さんはKi nKiとしてそこに立ち、歌うことを選びました。KinKiとい う場所を、ひとりで守ることを決断してくれました。
司会の谷原さんは、「きっとテレビの前で見ていてくれてると思い ますよ」と言ってくださいました。そのくらい、誰がどう見ても、 ここにいないたったひとりの為に捧げられた歌でした。
ファンクラブからPartyについてのメールが届いたのはその2 日後、7/13午後9時のことでした。
治療を続けてきたものの完治に至らず完全なパフォーマンスの約束 ができないこと、その為つよしくんは映像での出演となること、光 一さんがステージ上でパフォーマンスをすることが感謝やお詫びと 共に綴られていました。
1番に感じたのは決断してくれて良かったということ。この一連の 出来事がPartyに照準を合わせた休養であるとすれば、無理を してでも出演してしまう、させられてしまうのではないかという不 安は少なからずありました。でもチームKinKiはつよしくんの 完治を1番に考えている。それがわかって少しほっとしたのを覚え ています。
でも正直、芽生えたのは前向きな気持ちだけではありませんでした 。デビュー15周年の「ぼくも」事件。なかなかふたりの活動が増 えなかった時期。20周年にむけての要望活動。いつしか数え年が 当たり前になっていたアニバーサリーイヤーを去年で終わらせず、 「20周年本番は2017年7月」と唱え続け、ふたりとファンが やっとの想いで手に入れたPartyやCMやたくさんのテレビ露 出でした。
どうしてふたりがこんな目に遭わなくてはいけないのか、
どうしてつよしくんの苦しみを代わってあげられないのか、
どうして光一さんの強さに1ミリでも報いることができないのか、
この日も悔し涙が止まることはありませんでした。
光一さんがファンに謝るようなことになったらどうしよう、つよしくんは中継とはいえ本当に出演が可能な状態なのだろうか、遠くにいるつよしくんのことを、ひとりでパフォーマンスする光一 さんを、
どんな気持ちで見たら良いんだろう。払い戻しをすることは全く考えなかったけれど、不安は泉のように 湧き続けました。
翌日、20周年前夜祭として企画されていたディレイビューイング が中止されること、ハマスタから生中継での出演が予定されていた 「音楽の日」への出演が取りやめとなったことが発表されました。 後に聞くところによれば予定されていた報道陣の取材も行わないこ とになったそうで、おそらくは映像演出上必要なカメラ以外は設置 しなかったのだろうと思います。ディレイビューイングは海外での 開催も決定しており、海外ファンの長年の要望がようやく形になる 筈でした。音楽の日はふたりが敬愛する中居くんの番組であり、2 0周年という節目のイベント中継で華を添える筈でした。
おめでとうとありがとうを伝えたい一方で不安な想いを消すことが できず、Partyが明日に迫っているにも関わらず気持ちの行き 場を失くしかけていたその時でした。
LOVE FIGHTERの更新。
これまでの経過と謝罪、無念、そしていつもと同じ大きな愛が、か わいらしい顔文字を添えて綴られていました。ハマスタに入れない ファンにも一斉に想いを伝えてくれたのです。真摯に、でも深刻に ならないように、つよしくんの人柄がそのまま表れたような優しく 想いの詰まった文章でした。明日は遠くにいるつよしくんにも愛が 届く時間になればいい、そう強く願いました。
その3時間後。
Show must go onのアイコンに灯る「UP」の印。
目を疑いました。
それは実に、約300日ぶりの更新でした。
光一さんはいつも、ファンに向けた文章を敬語で綴ります。特に自 分や周りに何かあったときの挨拶は例外なく、考え抜かれた慎重な 言葉選びで表現されてきました。
それなのに。
その日更新されたのは句読点すらないくだけた口語体の文章。Pa rtyの内容はほぼ決まっていないこと、そして全て受け止めたう えで明日は楽しむのだという率直な想いが綴られていました。改行 に挟まれた中盤の9文字。それは自分でも気付かなかったけれどあ の時1番欲しかった言葉なのかもしれません。
光一さんは常々「不安だから稽古を重ねる」「段取りに空白がある のは怖い」と言ってきました。完璧に作り上げた世界観の中に客を 誘うのが光一さんの、そしてKinKiのやり方でした。そんな姿 を見てきた私は今回のことで勝手に光一さんの心情を推し量り、不 安で仕方がない筈だ、寝ずに段取りを作っている筈だと妄想を膨ら ませ心を痛めていました。でもそれは愚かな行為でした。ふたりの 四半世紀は、ふたりのデビュー20周年はそんなヤワなものではなか ったのです。せっかく辿り着いたPartyなのだから心から楽し むべきなのです。まさに霧が晴れたような気持ちでした。本当にす ごい人のファンになってしまったと思いました。
そしていよいよPartyの日はやってきました。ほとんど眠れず 寝ぼけたままで熱中症対策グッズを山ほど詰め込んだバッグを引き ずるようにして横浜に向かいます。販売開始は9時と発表されていましたが、7時の時点で2000人 が並んでいるという情報も。誰もが炎天下で数時間立ち続ける覚悟 でグッズ列に臨んでいました。
しかしいざ並んでみると、販売開始前にも関わらずどんどん進んで いくグッズ列。何事かと前に続くと、販売会場の隣のホールが待機 場所として用意されていました。冷房完備はもちろんのこと、会場内にはいくつものモニターが設置 されており新曲やライブDVD、テレビやラジオのCMまでさまざ まなKinKiの映像がかわるがわる映し出されます。さらにはホールの片隅に置かれたPartyロゴ入りの白い布の壁 。その前にはペンも用意されており(なお赤と青がかなり多め)、 寄せ書きができるようになっていました。
いったいどうしてしまったのでしょうか。あまりのホスピタリティ に言葉を失っていると、30分早く販売が始まった隣のホールから とんでもない情報が飛び込んできました。
「コンサート衣装が展示されている」
私たちはグッズを買いに来たのであり衣装展に来たのではありませ ん。言葉の意味が分からず混乱したまま販売会場のホールに入ると 、そこには想像を絶する光景が広がっていました。
まずはすごい数の売り子が並ぶグッズ列。現金専用レジとカードも 使えるレジの2種類が用意され、いずれもロゴと商品名の入ったレ シートがでてきます。
そして売り場を抜けいくつもの仕切りの中を蛇行した先には、年末 年始に行われたコンサートの写真パネル、そして実際に着用した衣 装が飾られていました。衣装の後ろにはひときわ大きなパネルが置 かれ、コンサートの臨場感を思い出せる仕掛けに胸が熱くなります 。丁寧に飾られた衣装はそのどれもが豪奢な刺繍や煌びやかなパー ツがふんだんに散りばめられた美しい仕上がりで、神は細部に宿る と言わんばかりの仕事ぶりを近くで眺めることができる至福のひと 時でした。
衣装展の最後を飾るのは、ライトアップされ360°眺められるよ うに祀られた紅白衣装。このお衣装は元日のコンサートのアンコー ルでのみファンに披露されましたが、そのときのふたりの口ぶりか らこの後は永遠に封印されてしまうものと思っていました。まさか こんな風に仔細を眺めることができる日がくるとは夢にも思わず、 語彙を失うほどの美しさにただただ圧倒されるばかりでした。
幻かと思うほどの空間を抜けると、またもや行列が。いつも会場で CDやDVDを販売している山野楽器さんのブースでした。尋常で ない並びっぷりに困惑していると、どうやら新曲「The Red Light」の横浜スタジアム限定盤が用意されているというので す。これも事前には一切知らされていない情報でした。コンサート DVDにも会場限定のショップバッグがつくとあって売り場は大盛 況。パネルや衣装の展示を見て「お金を払わせてほしい…」と口を 揃えていたおたくの気持ちを昇華させてくれる素晴らしい仕組みで した。私は早い時間に並べたので問題なく購入できましたが、限定 盤は二日とも売り切れてしまったとのこと。そんなハマスタブース トもあり、テレビで一回も歌唱できなかったにも関わらず新曲はギ ネス記録の更新と共に売上20万枚の大台に乗りました。
一方、会場となるハマスタでは着々と準備が進められていました。 恒例のモニュメントは赤と青のリボンで彩られた誕生日ケーキの形 をしており、お世話になったたくさんの方々の名前が並びます。ゲ ートには「Welcome to KinKi Kids Party!」の文字が躍り、招待客を今か今かと待っているよう でした。
いよいよ開場の時。入場した私たちはまた驚かされることになりま す。入場者全員に、Partyのロゴが入った大判のタオルがプレ ゼントされたのです。タオルの入った肩掛けの透明なビニールバッ グにもふたりの手書きメッセージが印刷され、チームKinKiか らの愛を感じずにはいられませんでした。
赤と青、そしてイベントロゴと共に「20th Anniversary」の文字が光るシンプルなステージ。まだ まだ陽は落ちておらず、生ぬるい風が吹き抜けていきます。定刻を 迎えると、響いてきたのはいつもと変わらないトーンの光一さんの 声でした。
(ここからは二日間をダイジェストでお送りします)
◎映像越しのつよしくん
まだ姿の見えない光一さんの合図でつよしくんを呼び出すと、モニ ターに映ったのは鼻メガネを装着したつよしくん。号泣する準備は できていたオタ各位の爆笑を誘います。ユーモアセンス溢れるスケ ブ芸(言い方)で病状や経過の説明をしてくれました。2日目の登 場はおふざけなしの超絶美人。「昨日はゆるすぎたかなと思って… 」と微笑むと光一さんがファンと同じかそれ以上のテンションで「 つよしくんカッコいいよ!」とはしゃぎます。光一さんはつよしく んの口の中から出てくる設定。今まで見たどの登場よりもぬるっと していましたが、Partyだからとタキシードをキメてきた光一 さんは神作画ぶりがすごかったです。つよしくんはすぐに中継芸を マスターし(だから言い方)、光一さんが暑いといえば画面の向こ うから煽いであげたり、雨が降るかもと言えば画面の向こうから屋 根を差し掛けたり、ロウソクが消えそうになれば風除けを作ったり と奮闘していました。なお光一さんのツッコミがゲロ甘。大きなつ よしくんと小さな光一さんの織り成す御伽話のような光景は暖かく もどこか切なく、この世に魔法使いがいるならふたりの間にあるも のをすべて消し去ってほしいと願わずにはいられませんでした。
◎Hey!みんな元気かい?
光一さんが1曲目に決めていたのはこの曲。「今日はいつも通り上 手に立つしいつも通り自分のパートを歌うからみんながつよしくん パートだよ!ハモもそのまま歌うからつられないでね!」とつよし くんの居場所を守る想いに涙しつつ、つよしくんパートという大役 を任されるファン一同。ふたりも言っているように普段のコンサー トではあまり歌わないKinKiファンですが(声を出すようなコ ンサートじゃないしふたりの歌が聞きたいからなんですけどね)、 この日は第一声からすごかった。光一さんの想いに応えたい、つよ しくんに声を届けたい、そんな気持ちが音になって溢れているよう で、泣かないと決めた筈の誓いは脆くも崩れ去ったのでした。1日 目、ファンとの歌唱を終えた光一さんが「あっ!Hey!つよし元 気かい?って歌おうと思ったのに忘れてた!!」なんて言い出して もう一度ワンコーラス歌ったのには笑い泣きでしたが、そういう意 味でどうしても1曲目にこれを持ってきたかったんだなと思うと本 当に貴方という人は。
◎過去映像
おもむろにPartyのロゴが入ったスケッチブック大のリストを 取り出すふたり。円盤化されていない過去のステージ映像をみんな で見ようというのです。デビュー会見の映像からはじまり、まだコ ンサートで先輩の曲をカバーしていた時代の貴重な映像から新しく てもGコンの映像まで、様々な未円盤化映像に阿鼻叫喚のハマスタ 。しかし一番リアクションが大きかったのが誰あろう光一さんだっ たのには笑いました。過去の自分が客席に手を振っていることに驚 いたり、意外とカッコいいじゃんと呟いてみたり。さらにデビュー 前後のつよしくんの映像が出てくるとさあ大変です。「つよしくん かっこいいじゃん!」「つよしくんて俺こんときのイメージやわぁ !」「かっこいい!」「つよしくんかっこいい!」強火がうるさい 。いやでもほんとにかっこよかったんです、愛してる愛してないと か。ただ六甲おろしとカムストックは意味が分からなかった。なん でバイク乗り回してるの。自由か。
◎ケーキ
1日目の中盤、突如つよしくんの部屋にもゲストが登場。自分たち のリハ(この日は音楽の日の出演もありました)がある中駆け付け てくれたふぉ~ゆ~の4人でした。4人が運んできてくれたのは「 2」「0」のロウソクが立てられたお祝いのケーキ。さらに光一さ んのいるステージにも同じものが届くというスタッフさんの愛がと ても嬉しかった。そして光一さんが「建さんちょっと音楽お願いで きますか」というと流れ始めたのは20周年バージョンのハピグリ 。これも嬉しい贈り物でした。ステージにひとりの光一さんは主役 なのに自分で火をつけるしかなく、しかも野外で風があった為全然 上手につかなかったのですが、画面越しに風除けを作ろうとしてく れたつよしくんも「だから飛び出してこないから!」とツッコむ光 一さんも本当に可愛かった。つよしくんが「そっちにいる光一が(ロ ウソクの火)消してよ」といえば光一さんは「俺はいつも誕生日で 消してるからつよしくんが消してよ」と譲り合い、結果的にせーの で消しちゃうアラフォーやばくないですか???しかも光一さん最 後まで火つかなかったのにちゃんとタイミング合わせて消すフリし てるんだよ???(興奮)
◎薔薇と太陽
「つよしくん、そっちにpBoneあるでしょ?薔薇と太陽にさ、 ホーンの見せ場があるじゃない?あそこやってもらおうかなと思っ て。でも吹いちゃダメだよ耳に悪いから!」と光一さん。いまのふ たりでできるパフォーマンスを最大限に考えてのアイディアだった のでしょう。ノリノリでpBoneを組み立てるつよしくん(なお 未だに組み立て方が曖昧)が冗談で「でも逆にこれ吹いたら一気に 治るかもww」なんていうと「絶対ダメだよ!吹かないでね!」と 4回も念を押す光一さんのおにいちゃんぶりたるや(でもマウスピ ースがケースの中になかったようで物理的に吹けませんでした。光 一さんに絶対吹かせるなと言われたスタッフさんの苦肉の策だった のかなーなんて邪推)。曲が始まると、4tの足枷(この日は部屋 を飛び出してハマスタに行かないようにスタッフが厳戒態勢をしい ていたそう)をものともせず躍動感溢れるプレイで魅了するつよし くんとたったひとりでタキシードのままガッツリ踊る光一さん。客 席はそのふたつを視界に収めながら一生懸命つよしくんパートを歌 いましたが、「くびすじにーひかるあーsギャァァァァァァ」とシ ャルドネチャンスに崩れ落ちます(そんな客席にニヤリとしてしま う光一さんも見逃さなかったぞ)。間奏に入ると「はいつよしくん 見せ場だよ!」という掛け声から怒涛のスタンドプレイ。激しくp Boneを吹き散らかしたかと思うと足枷を攻撃しはじめ破壊に成 功、ズルズルと遠くへ追いやります(なお数分後には何事もなかっ たようにまた自分でつける)。笑って泣いて歌って叫んで史上最高 に忙しいばらたいだったのでした。
◎ひとりじゃない
1日目の後半、流石に暑いから着替えるねという光一さん、無礼講 だからとその場で脱ぎ始めます。肉体美に興奮する客席に背 を向けて白いTシャツに着替えた光一さんが正面に向き直ると、そ こにはなんと、若かりしつよしくんの写真が…!さらに客席が騒然 としている間に何やらフレームアウトするつよしくん。戻ってくる とそこには同じく若かりし光一さんの写真が印刷されたTシャツを 纏うつよしくんの姿が…!(我々はいったい何を見せられて…?? ??)と困惑する客席をよそに何事もなかったように進行するふた り。ここで光一さんが歌いたいと言い出したのはまさかの「ひとり じゃない」でした。はじめちゃん大好きなのは知ってるけどさァ、 ほんとにそれで歌うの?その格好で?とツッコむ間もなく相方正面 で歌い始める光一さん。全席一律ケツ見でお届けしていきます。遠 くにいる相方に贈る「ひとりじゃない」は文字で読めば感動的です が、なにしろ目の前の人もスクリーン越しの人もTシャツに印刷さ れたお互いの顔を撫でたりして楽しそうだし、桜木町の花火がドン ドコ打ちあがってるし、もう何がなんやら。まあいっか、無礼講だ し(?)
◎つよしくんの弾き語り
1日目、ギターを取り出したつよしくんが歌ってくれたのはto Heart。「君がいるただそれだけで壊れるくらいつよくなれる よ」という言葉は、これまで光一さんが送り続けてきたメッセージ への返歌のようでした。もともと歌う予定がなかったのかこの日は ギターにマイクがあてられておらず、会場に届く音声はほとんどつ よしくんの声のみ。優しい美声がアカペラのように響き、光一さん をはじめ誰もがただ静かに聴き入りました。2日目に選んだのは「 おかんが必ずカラオケで歌う」という青の時代。「砂に書いたあの 文字は僕への励ましの言葉」という歌詞だけでメッセージ性は充分 すぎるほどで、吹き抜ける風が光一さんの横顔を撫でる光景は本当 に綺麗で。神様どうか彼から音を奪わないでくださいと願わずには いられませんでした。
◎ゲスト
2日間で駆け付けてくれたゲストは総勢14人。「この(未円盤化 )リストだけで酒が飲める」「光一さんの隣で踊る日が来ることを 17年前の自分に教えてあげたい」とオタ全開で好感度爆上がりだ った生田斗真くん、テレ東音楽祭のことも含めてちゃんと御礼させ てねって言った光一さんに「今度箸借りにいったらお茶ぐらいだし てね!」って帰ってく宇宙一の男前こと長瀬智也さん、舎弟のよう な腰の低さでとにかく恐縮しまくるロバ丸、愛が溢れすぎて声が震 えていた増田貴久くん、赤青の服をキメ汗だくになりながら2曲も バックについてくれた泣き虫などなど、ゆかりのあるメンバーがお めでとうを伝えに来てくれました。正直なことをいうと、こうなる 前はぼんやりと「KinKiの記念日に後輩は集まらなくていい」 と思っていました。記念コンサートに後輩が集結した例はいくつも ありますが、KinKiはそういう感じではなくいつも通りふたり ぼっちで居てくれた方が良いと思っていました。でも、この状況で KinKiの為に何かできないかと駆け付けてくれた仲間達の愛は 私が考えていたよりずっとずっと大きくて、それが心から純粋に嬉 しく幸せでした。ゲストが来るたびに「今何年目?次の○ 周年は必ずお祝いに行くからね!」と声を掛ける光一さんは本当に 素敵な大人の男性で、また恋をしそうになったのはここだけの話。
◎もう君以外愛せない
2日目の公演も中盤に差し掛かった頃でした。「つよしくんさあ、 ズレても良いからさあ、一緒に一曲やってみない?もうなんでもあ りでしょ!」と突然の提案。つよしくんの顔には若干の困惑が漂っ ていました。「ちょっと突っ込み気味で歌ってもらえればさあ、ズ レてもいいから!」「バラードのがやりやすいと思うんだよね、も う君以外愛せないとか!」「サビは一緒にやると大変なことになる からソロパートだけでも!」珍しいほど押しの強い光一さん。「い いけどここカラオケBOXみたい…」とこぼすつよしくんに「はい もう始まるよ!」と半ば強引にイントロへ。最初の光一さんパート が終わると、少しだけ遅れてつよしくんの声が響き渡り、会場には 自然と拍手が沸き起こりました。 このときモニターに向かって頷きながら指で小さくOKのサインを 出す光一さんの顔付きはとても神妙で、 涙を堪えているようにさえ見えたりもして。 サビを終えると本来はユニゾンで2番のAメロ。 しかし光一さんは「ここふたりだけどつよしくん歌って!」 と促します。やはり少しのズレはありましたが、 そんなことはどうでもよくなるほど想いのこもった歌声。 事件が起こったのは最後の最後、つよしくんのソロパートでした。 「もう君以外愛せない今ここに君と約束するよ」 をかなり突っ込み気味に歌い始めたつよしくん。 こちらの伴奏とぴったり合う瞬間があったのです。 さらに歌い終わりのrit.をかけるつよしくんにピアノ伴奏がぴ たりと寄り添い、終わってみればいつもとなんら変わらないフィナーレ。 信じられませんでした。つよしくんの技量、バンドのみなさんの技 量は言うまでもないですが、何より胸に響いたのは「信じる力」 でした。奇跡は起こる。陳腐な言い方にはなりますが、運命と絆で 結ばれたふたりに物理的な距離が勝てる筈がなかったのです。息が できないほどに泣きじゃくりました。
◎突発LOVE1日目
陽もすっかり落ち花火も収まってきた頃、光一さんの口からとんで もない情報が発表されました。「実は今堂島くんと作っている曲が あって、詞はつよしくんに書いてもらうことになっている。まだ制 作途中でデモの段階だけど、ラララで歌ってみたい」。光一さんは 普段から、制作段階や不完全なものを客に見せることはしてきませ んでした。そんな光一さんが何故こんなことを言い出したのかは、 ふたりの会話を聞くうちに分かってきます。作詞は以前からお願い していたものの入院中はやはり詞が書けなかったつよしくん。光一 さんはそんなつよしくんに会場での歌唱風景を見せることで、イマ ジネーションの助けになればと思ったというのです。光一さんは本 気でした。ラララで歌い上げられたその曲は堂島さんのさわやかで キラキラしたサウンドと光一さんのどこか切なく美しい旋律が融合 した青春ポップス。 イントロから胸が締め付けられてまた泣きました。光一さんも何度 も強調していたようにこの曲のポイントは大サビでふたりがそれぞ れ別のメロディを歌い(この日は堂島くんが一緒に歌ってくれまし た)、最後にはまたひとつになって終わるところ。嗚呼この人はど こまでロマンチストなのでしょう。堂島さんの歌が聴けたのはとて も贅沢でしたが、ふたりの声で歌われるこの大サビを早く聴きたい と強く思いました。歌唱を終えると、この曲に詞を書いていつかふ たりで歌うことを約束してほしいと真剣な目で語り掛ける光一さん 。対するつよしくんも「実は自分も今作っている曲がある。 光一に詞を書いてほしい」と驚きの発表を。一度は「 俺はもう詞は書きたく…」と言いかけた光一さんでしたが、自分が 約束してもらったのだからとその言葉を飲み込んだのがとても印象 的でした。そして「どう?なんか浮かびそう?」と優しく問いかけ る光一さんにつよしくんがなんとなく浮かんできたと話したフレー ズは「言葉のないメロディを口ずさむ勇気を持つ僕達」。嗚呼もう この人もどこまでロマンチストなのでry。光一さんのエールの送 り方は結果的に大正解で、つよしくんのもとにこんな素敵なフレー ズが降りてくる瞬間の目撃者となれたことはきっと忘れられないと 思います。
◎突発LOVE2日目
2日目、大感動のもう君以外愛せないが終わると「最近はネットと かで情報がたくさん流れているのでご存じの方もいるかもしれませ んが…」と話題にしたのはやはり突発LOVEでした。なんとこの 日の午後、つよしくんがザーッと詞を書いてきてくれたというので す。入院中全く浮かばなかった詞を、数時間で形にしてきたという のです。光一さんが無理やりにでも昨日歌ったことが本当につよし くんの力になったのかも…という推測は、スケッチブックに書いた 詞がモニターに映った瞬間に確信に変わりました。「離れた夜空( そら)に咲く花」「言葉のないこのメロディも聞こえないそのメロ ディも」「虹うつ愛のネオンが綺麗」女性詞で美しく表現されてい たのはまさしく昨日の光景でした。光一さんの音に乗ったその歌詞 はより一層切なく綺麗で胸を打ち、枯れるほど泣いた筈なのにとめ どなく涙が溢れました。歌が終わると「あ、 ごめんあそこ歌詞足りなかった?」「大丈夫、足して歌っちゃった 」などと早速微調整に入るふたり。光一さんは「 あっごめん普通に制作しちゃった」と謝ってくれましたがふたりの 制作活動を生で見られるほどの幸せは他にありません。さらにこの 時歌詞が足りないと思ったつよしくんが書き足したフレーズは「 会いたいよ」。もう言葉がありませんでした。どうしてこのふたり はこんなにも運命に愛されてしまうのでしょう。
◎Anniversary
最後の曲として用意されていたのはAnniversaryでした 。ここでもつよしくんのパートを歌うのはファン一同。上手に立つ 光一さんは迷わずハモパートを歌います。モニターを見ていると、 時たま真上からのアングルがあることに気付きました。よく見ると 光一さんのシンメの位置に、しっかりとピンスポが当たっていたの です。必ずまたここでふたりで歌うんだ、 その場所は絶対に守るんだ、チームKinKiの痛いほどの愛でし た。間奏を終えての大サビ。 その歌いだしは光一さんの合図でファンに委ねられました。 その日1番の大合唱が響き渡ると光一さんの歌声も重なり曲はクラ イマックスへ( 2日目はここで伴奏もボリュームを下げてくださいました)。 つよしくんは曲中ずっとスケッチブックに走らせていたペンを置き 、感謝の気持ちを込めたイラストをこちらに向けてくれました。 光一さんが最後の挨拶を述べると、もう一度大サビへ。 途端にそこまでひとつも使用されなかった特効がこれでもかと打ち 上がり、ふたりの20周年を鮮烈に祝います。桜木町の花火を「 他人のだからタダでみちゃだめ!」なんて言っていたのに、 ちゃんと自分たちでも用意してくれていたのです。一般論として、 花火に籠められるのは祈りです。 それは鎮魂であったり復興であったり、 何か大きなものへの願いが籠められるものが花火です。 ふたりがずっとふたりでいられますように。 そんな満場一致の祈りは神様に届いたでしょうか。
「つよしくんいつもので終わろ!いくよ!」
「俺たちきんききーっず! 」
(なお2日目はWe are KinKi Kids!)
大きいつよしくんと小さい光一さんが手を取り合ってPartyは 終幕を迎えました。
ふたりから受け取ったメッセージは「KinKi Kidsを諦めない」ということ。
つよしくんの居場所を守り続けた光一さん。
「諦めのキスはまだしないよ」と歌詞を綴ったつよしくん。
20周年は大きな到達点ではあるけれど、ふたりの、 ふたりでの人生はまだまだ続きます。 もちろんふたり揃った姿を見られなかったのは残念ですが、 人生にはいろいろなことがあるのです。 一瞬の夢の時間も素敵だけれど、 ふたりと同じ時代をこうして生きている実感が何より幸せなのだと気付かさ れた2日間でもありました。
ふたりは何度も伝えてくれました。
「 僕達とスタッフとバンドとファンのこの関係性がなければこんなこ とは絶対にできなかった」
「(チケットの払い戻しもできたのに)みんなが笑顔で集まってくれてよかった」
おこがましいのは百も承知で自惚れたことを言わせてもらえるなら、今回のPartyが中止にならなかったのは、ふたりができると判断してくれたのは、私達ファンのことを信じて甘えてくれたからだと思うのです。私達の愛が届いていたからだと思うのです。
覚えているでしょうか。Mコンで歌われた「僕らの未来」。ふたりの歌う未来には、ふたりの背中越しの私達がいました。彼らの描く未来の中に私達がいる。それはもはや愛すら超えた何かでした。
私達はふたりに何を返せるでしょうか。きっとひとりひとりにできることは少ないでしょう。でもふたりが歩き続けるのは不確かで硝子のような世界です。当たり前のことなんてひとつもありません。KinKiは運命で真理ですが、同時に愛であり執着だったのです。ふたりがずっとずっと守ってきてくれた場所。力になれるかは分からないけど、ふたりはふたり以外にKinKiを背負わせたりしないだろうけど、ほんの少しでも一緒にこの場所を守れたらと強く思いました。
幸せばかりではなかったこの1ヶ月を、
でも愛しかなかったこの1ヶ月を、
私は決して忘れることはないでしょう。
改めてデビュー20周年おめでとう。
そしてありがとう。
ずっとずっと、
ずっとふたりで。