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星の彼方 雲の隙間

声が届かなくても想ってるよ

この道を共に進めば僕たちはひとつ〜ABC座2015第一幕感想

A.B.C-Z 舞台
ABC座2015
10/7〜10/28@日生劇場

「第1幕 サンズ・オブ・ザ・マッシュルーム」

◎オープニング
【OVERTURE〜Smiling Again】
幕が上がると裾にモフモフのついた白スーツで登場する五人。ミュージカルのオープニングにありがちな?タキシードっぽいイメージでなく、メンカラーの星が散りばめられていたり中にシルバーのネックレスをしていたりとやっぱりどこか可愛らしいA.B.C-Zの衣装が大好きでした。Smiling Againの階段を使った振付はあー舞台だなあという感じでビシバシにキラキラしていて(語彙力)素晴らしかったです。中でも階段の下から二段とばしでメンバーそれぞれが位置をズラしながら立ち、最後には一直線になるところは「惑星が重なる奇跡みたいだなあ」と思って見ていました。

そして曲が終わると河合くんから告げられる衝撃の事実。

\1幕A.B.C-Zもう出ません/

えええええええ?と困惑しているのも束の間、「プラネッツ」とかいうバンドがハコを探したものの見つからず、どうしても日生でやりたいと120万円を振り込んできたというのです。このくだりでいつも「ハコ見つからないから日生劇場ってどんだけ贅沢なんですか」ってボソッと突っ込む五関くんが好きでした。しかし120万てどうなんですか?安いですよね?毎公演もらってたのかな?←

◎プロローグ
★レコードショップ ゴロー
オープニングトークをしていると上手の扉から3人の若者が。郁人の「ギター持ってるからプラネッツのファンかな?」という問い掛けに首を振る3人。公演後半からは何故か原くん弄りも交えつつ去っていく五人。ここから物語が始まります。

最初は「ギターのリフ」すらまともに言えていなかった3人(しめかけくん、原くん、目黒くんで合ってる?)が日に日に成長し、終盤にはしっかりと会場を芝居の雰囲気に誘っている姿には「Jr.には興味がない。絶対にハマらない。」と公言している私も感動を覚えずにはいられませんでした。下手から出てくるのえる、寺西、もりつぐくんは最初から割と安定してたなあ。

上手の3人がいつものように御茶ノ水にあるレコードショップゴローに顔を出すと、しめかけくんがお店のカウンターに大事に飾ってある一枚のレコードを見つけます。店主の五郎さんは懐かしそうな顔で「ここ東京にもすげーバンドがいたんだ」と語り始めて…

◎一場
【神様チャンスを】
【SEXY DRIVING】
【イージードライバー】
★2015年ライブハウス
御茶ノ水にある寂れたライブハウスではしけた五人組が演奏の真っ只中。60年代サウンドを取り入れて活動する方針を決めたばかりですが、なかなかお客はつきません。ギクシャクする五人のもとに一本の電話がかかってくるところからプラネッツの物語はスタートします。

蛍の光に合わせてシンバルを叩くフミトがかわいくて好きでした。蛍の光生演奏もどこかで聞いてみたいw芝居をしながら謎のスクワット動作を繰り返す戸塚田はどっからどう見てもチプデ。コウイチのケータイはiPhoneでしたね。電話してるときの嬉しそうな表情と大きな声が好き。

★車内
札幌のロックフェスに参加するため空港に向かう五人。高速を飛ばしているときに白猫を見つけそれを避けた五人の車は事故に遭ってしまいます。

ドライブシーンはいきなりアクロバット満載。ミュージカルっぽさに溢れていて大好きなシーンでした。イキイキと踊る五人に「やっぱこれだよねえ!」と笑顔になったひとも多いはず。SEXY DRIVINGでハンドルとシフトレバーを操るリョウスケがめちゃくちゃカッコ良かったです。

◎ニ場
★1966年 羽田空港
飛行機のタラップから降りてくる五人。その後に続いたのはなんと…マッシュルームの四人組!フミトがピンときた通り、五人は1966年にタイムスリップしてしまったのです。

「俺はあの変な階段降りたときからおかしいと思ってたんだよ!」と大きい声で流石の洞察力を発揮するコウイチと、大好きな60年代にタイムスリップして興奮するフミトに「で、どうしたいの?」と聞く優しいリョーイチが最高でした。ラムとほなみんの初登場シーンもここ。

★武道館近く
生活費を切り詰めてまでこの日を心待ちにしていた五郎さんは、武道館のすぐそばで不思議な若者と出会います。

「ロックンロール!」「シャケのベイビー!」な郁塚がサイコーにゴキゲン。いくらなんでもかわいい。寺西のウザそうな演技も見所。

◎三場
★九段下の公園
ビートルズの初来日公演を終えた五人は再び五郎さんと遭遇、バンドをやっていること、タイムスリップしてしまったことを打ち明けます。タイムスリップについては信じてくれない五郎さんですが、貧乏バンドマンを放っておけず、五人をアパートに招待。ここからバンドの運命が大きく動き出します。

冷静に興奮する五関くん、ミックジャガーの真似する五関くん、パッチンガム仕掛けられて痛っ!て言う五関くん、そのあとサイレントで「ボケが小さい」って突っ込む五関くん…最年長のキュートが際立つシーンでした。スマホが居酒屋の木札になってるくだりの戸塚さんの振り切れぶりがニッキ演出感あって良かったなあ。その後の塚ちゃんは言わずもがな。あと「作り話ではありません」から始まる戸塚さんの長台詞とそれに対しての五郎さんの台詞がとっても好きでした。ロックがスタンダードになることをこの時代のロックファンは望んでいなかったでしょう。でもショータの言うように現代には「マッシュルームの四人組の子どもたち」がたくさんいる。五郎さんもプラネッツもそうであるように。

◎四場
【ファッションショー】
【君に会いたい(Rehearsal ver.)】
★五郎のアパート
五郎さんの風呂付きアパートに招かれた五人は自分たちのことをぽつぽつと語り始めます。そこで発覚したのは、五郎さんの解散したバンドと五人のバンドが同じ「プラネッツ」という名前だということ。御丁寧にステッカーのロゴまで同じだというのです。不思議な五人組にいよいよ興味津々な五郎さん。自分と組んでみないかと持ち掛けます。そこで付けられたニックネームは以下の通り。

リョウスケ:マーキュリー(水も滴る良い男)
コウイチ:ジュピター(黙々と仕事をこなす職人気質)
ショータ:マース(目だけは笑っていない炎の男)
フミト:サターン(地響きを感じさせる勘違い)
リョーイチ:メイ珍(冥王星が英語でなんていうか分からなかったので)

シーンの冒頭にある五関くんの長台詞が大好きでした。声のトーンも速さも言い回しも全てがしっくりきて、ああこの人の芝居が好きだと思い知らされました。「枕木の音が遠くから聞こえる」とか「稀有なアクシデント」というフレーズに意味もなくキュンキュンしたのは私だけじゃないですよね??そして突如はじまるファッションショーからのラムちゃん口上。ああこれは紛れもなくニッキ舞台だ。誰ひとり似合っていないマッシュルームのカツラとビートルズ然としたカラフル衣装が、ここが異空間であることを嫌という程主張していました。メイ珍のカツラレポが毎日のように回ってきたのはえび座期間の大きな思い出です。

★酒屋の倉庫
五郎さんのアパート近くにある秘密の練習場に案内された五人は缶詰めになって夢中で練習を繰り返します。五郎さんがあたってくれたジャズ喫茶ACBでのライブも決まり、プラネッツはタイムスリップする前では考えられないほどひとつになりはじめていました。

やっちんさんのギターがめちゃめちゃカッコ良かった…!最終盤になると五郎さんにギター演奏を頼むプラネッツの団体芸もまとまってきて面白かったですね。あと毎回蹴つまずくマースが心配になるくらい全力で最高でした。

◎五場
【プラネッツメドレー(君に会いたい〜イージードライバー〜恋のドラキュラガール〜神様チャンスを)】
★ジャズ喫茶ACB
当時若手バンドの登竜門であったジャズ喫茶ACBで活動を始めたプラネッツは瞬く間に人気バンドとなり、今をときめくスターになっていきます。

ここ一番好きかも!とにかく楽しそうにアイコンタクトしながら演奏する五人が可愛くて仕方ありません。後ろのスクリーンにはレコーディング風景や雑誌撮影、女の子に追い掛けられるプラネッツ、そして双子ごせ子のシャボン玉ホリデーが…!そして何と言っても唐突にキーボードをやめタンバリンを持って踊りまくるジュピターがもう…好きしかない…!最初の頃はバンドがメインだからと遠慮がちだったジュピターも終盤に差し掛かると踊りたい衝動を抑えきれない感じが見えて最高でした。向かい合って見つめあうマーキュリーとマース、背中合わせで全力の表現を見せるジュピターとメイ珍の対比が印象的でした。サターンも歯が見えるほどの笑顔だったね。

◎六場
【Singin'for you〜涙くんさよなら】
【恋のドラキュラガール】
【PERIOD】
日劇ウェスタンカーニバル
ACBの動員記録を塗り替え、神様チャンスをがレコードになり、乗りに乗っているプラネッツ。ついに、あの日劇ウェスタンカーニバルへの出演が決まります。

マネージャーの五郎さんが客席を煽るところから始まるこのシーン。大人しく真面目なえび担は最後まで劇場で声を出すのをためらっていましたが、何故か毎回\五郎さあああん/だけは全力だったのが面白かったです。プラネッツはといえば人気の高まりの一方でだんだんとまた亀裂が生じはじめていました。有頂天になるリーダーと反発するリードボーカル、それを止められない残りのメンバー。日劇での演奏はそれぞれの複雑な思いからか以前のような勢いはありません。正直演出意図としてどのようなパフォーマンスにしたかったのかはわからないまま終わってしまいましたが、バンドバージョンの後のドラキュラガールダンスバージョンはとっても好きでした。日に日に手拍子が大きくなっていくのも、それにつられてどんどんダンスが勢いを増していくのも、声援が大好物のA.B.C-Zらしいなあという感じで楽しく見ていました。突然のアクロバットからのダンスバージョンが観客に受け入れられ、「やったな」と笑顔でメイ珍の肩をたたくジュピターと、照れ臭そうに笑顔を返すメイ珍が胸キュンポイントでした。

日劇の楽屋
自分に無断でアクロバットをはじめたリョーイチに話を通せと冷たく言い放つフミト。リョウスケにも暴言を吐き、ついに冷静なコウイチまでもがキレてしまいます。五人の喧嘩は日劇スタッフをも巻き込んだ大騒動になり…

-------PERIOD-------
「黙ってついてこい」
「お前が正しいのか」
「俺のリズムが全て」
「今更イラつくぜ」

「俺が道を拓く」
「立ち止まっている場合じゃない」

ただ嘆きもがく心 音になって響くよ
何も進まない やってられない
やめろ やめてくれ

憎しみに変わる心 止められずに叫ぶよ
乱すメロディー 走るリズム
バラバラのままで

離れ離れの音が五線譜を引き裂く
こんな筈じゃ このままじゃもう
僕らに迫るperiod
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1幕最大の見せ場はここだと思います。タイムスリップしてようやくひとつになったバンドが、また些細なことから瓦解してしまう様は目を背けたくなるほど切なく、悲しく、気付けば泣きながら見るようになっていました。リーダーであるフミトの苦悩や憤りを少しでも描いてくれればもうちょっと深い理解もできたかもしれないのでそこだけは残念でしたが、とにもかくにもこのシーンは五人の迫力ある演技とダンスが素晴らしく、何度でも見たい名場面でした。フミトの突然の怒りに戸惑うリョーイチ、もう反発の怒りを止めることのできないリョウスケ、兄のようにリョウスケをなだめフミトを止めようとするショータ、バンドの為に最後まで冷静でいようと努めたコウイチ、そしてゾクゾクするような顔で怒りを表すフミト。全員の表現が胸に迫ってきました。劇中歌periodの歌詞や振り付けや不協和音、全てがシーンとマッチしていて、ヘタなミュージカルにありがちな違和感が全くなかったのもよく考えると凄いことだなあと思います。音源化切望。

◎七場
★酒屋の倉庫
「俺のスタジオの夢もまたお預けかあ…」バラバラになるプラネッツを見て五郎さんはしみじみと呟きます。諭すように優しい口調で昔の話をしてくれる五郎さん。五人も我に返りじっと聞き入るのでした。五郎さんが帰ると口を開くリョウスケ。このままここにいるべきなのか、帰ってゼロからやり直すべきなのか、五人の未来を巡って再びリョウスケとフミトは対立します。そんな中ラムがいないことに気付いたリョウスケは倉庫を飛び出して…

プラネッツに五郎さんがいて本当に良かったなあというこのシーン。喧嘩の後の苛立った表情がだんだんといじけたような少し泣きそうな顔になり、五郎さんの話を聞いてハッと我に返っていくという五人の演技の流れが印象的でした。しかしリョウスケはどうしてあんなことを言い出したのでしょうか。本当にフミトが指摘したような考えからだったのでしょうか。孤児の設定も含めて「平成」への想いをフラッシュバックさせてる…というのは考えすぎかな。

◎八場
【Tommorow】
★和解
ラムを助けるため道路に飛び出し帰らぬ人となったリョウスケ。ラムはいつもリョウスケから四人の話を聞かされていました。落ち込んでいると変な顔をして笑わせてくれるリョーイチ、ギターの話をしだすと朝まで終わらないショータ、言葉遣いを教えてくれたコウイチ、そして、いつもいつも兄弟のように喧嘩をしていたフミト。「本当はどっちでも良かったんだ…マーキュリーとずっとバンドをしていたかった!兄弟喧嘩をしていたかった!家族、だからな…」フミトは自分の本当の気持ちにようやく気付きます。リョウスケに2度も命を救われたラムが全身全霊を込めて神様に祈りを捧げると、その想いはコウイチに乗り移り…

最初に見たときはあまりの急展開に全くついていけなかったこのシーンですが、何回か見ている内に芝居にグッとくるようになり、気付けばジュピターの舞に涙が溢れていました。本当に、本当に美しかった。何故それが彼だったのかは分かりませんが、ジュピターの予想できない動きに照明がほんの少し遅れてついてくるのは、ラムの魂が乗り移ったことを表していたのでしょうか。マーキュリーが復活した瞬間、泣きそうな顔でフッと微笑むジュピターはあまりにも絵画のようで、言葉ではとても言い表せない気持ちが込み上げたのを覚えています。その後スクリーンに流れたプラネッツと五郎さんのオフショットは是非ともジャニショで販売していただきたい。

◎九場
★酒屋の倉庫
ラムの祈りが神様に届き無事現代に帰ることのできたプラネッツ。そこは2016年、あれから50年後の御茶ノ水でした。酒屋の倉庫を探す五人は不思議な雰囲気を持つ穂波さんと出会い、ようやくスタジオとしてオープンした思い出の場所へ。すっかりおじいさんになった五郎さんと感動の再会を果たします。

五郎さんの演技が本当に良かった。忽然と消えたプラネッツを待ちながらスタジオを作るという夢のために1人で苦労してきた背中は少し寂しくてあの頃より小さく見えたのに、突如現れた五人を見たその顔は「もう思い残すことはない」と言い出しそうなくらい嬉しそうで。「夢ってのは、時間がかかればかかっただけ、嬉しいよなあ…」という台詞にはついA.B.C-Zを重ね合わせて泣きました。どんな形であれ、プラネッツは現代でも五人でバンドを続けていくことでしょう。幸せな幸せな、希望のラストシーンでした。

◎フィナーレ
【神様チャンスを〜Smiling Again(Finale ver.)】
スタジオで思い出の「神様チャンスを」の生演奏を始めるプラネッツ。いつしかオープニングで歌ったSmiling Againと混ざり合い、第一幕はフィナーレを迎えます。

「間違いだらけの運命もそれなり 良いじゃないか」と歌うのはプラネッツだったのでしょうか。A.B.C-Zだったのでしょうか。既に何人もの人が指摘しているように、この第一幕はジャニーさんとA.B.C-Zの物語であったと私も思います。今回のえび座が始まった最初の頃に少し肩透かしをくらった感があったのは、これまでのえび座がかなり直截的にジャニーズのこと、そしてA.B.C-Zのことを描いてきたことから起きた反動だったのではないでしょうか。でもやはり、ABC座という舞台が表現したいことは変わっていませんでした。

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時を越えて星を超えて
変わらないものを探して

この道を共に進めば
僕たちはひとつ
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A.B.C-Zはよくタイムスリップをします。宇宙に飛び出したり、宇宙人になったりもします。変わらないことはひとつだけ。いつだって五人でひとつ。私は新規なので過去のえび座はあまりきちんと見ていませんが、繰り返しABC座が訴えてきたのはこのことなのだとTommorowを聴いて確信しました。時空を超えて続いてく伝説を体現する五人をいつまでも見届けたい。どんなことが起きても最後には彼らと共に笑っていたい。そう強く願わずにはいられません。